窓の外で物音がしました。

みると、ベランダにお隣の子がいました。

私を見ると挨拶がわりに声を掛け、網戸からこちらを覗いています。


「開けて」


ということなのでしょう。


あらあなた、久しぶりね。
夏休みで何処かに行っていたの?


そう声を掛けたのですが、構わずそこからこちらを見ています。
いいから開けろと、そんな目で、じっとこちらを見ています。


仕方なく網戸をずらすと、すかさず入り込んできました。



あ、ちょっと…
こっちに来ちゃダメじゃないの。


と呼び止める間もなく、キッチンへ。
次に机の下へ。
さらにベッドの陰へ。


そうしているうちに、どこに隠れたか分からなくなってしまいました。


ああ、勝手に徘徊しないでよ。
ここは私の家。
あなたのお家じゃないのだから。
ちょっと、聞いてるの?






返事はありません。
物音も、聞こえません。

いつの間にか出て行ってしまったのかしら?
と網戸を締めると、カーテンの陰からすっと顔を覗かせました。



やだ、そこに居たの…
ここには来ちゃいけないって言われているでしょ?
早くお帰りなさい。


 
再び網戸を開けると、それを待っていたかのように隙間から走り出て行きました。



お出かけ先から久しぶりに戻ってきたので顔を見せに来たのでしょうか?
それとも、以前と変わりはないか様子を偵察しに来たのでしょうか?

賢い子だと聞きましたが、どうも私のいう事は、あまり聞いてもらえていないようです。



律儀なのか、それともただの縄張り偵察なのか。
お隣の猫の思惑は、さっぱり理解できません。



それでは今回はこのへんで。

明日も素敵な一日をお迎えください。